Q&A

 

相続問題Q&A

相続問題Q&A Index


 

アクセス

Q1 相談したいのですが、どうすればよいのでしょうか。

Q2 相談は有料ですか?

Q3 相続登記の他に、預貯金や証券などの手続きも依頼できますか?

Q4 仕事が忙しく平日相談に行けません。

Q5 費用はどのくらいかかりますか?

 

 

相続登記

Q1 相続登記する不動産が遠方にあります。依頼することは可能ですか?

Q2 相続登記はいつまでにしなければならないのですか?

Q3 相談に費用はかかりますか?また、相談時に何か準備するものはありますか?

Q4 相続登記を依頼した場合、費用はどのくらいかかりますか?

Q5 相続人が海外に住んでいる場合、遺産分割協議書に添付する印鑑証明書や住民票はどうすればいいのでしょうか?

Q6 被相続人の権利証(登記識別情報)が見当たりません。手続きに必要ですか?

Q7 平日は仕事があり訪問できません。土日でも可能ですか?

 

 

遺産承継業務(相続財産の管理・処分

Q1 被相続人が貸金庫の契約をしていた場合、どのようにして貸金庫の中身を確認するのですか?

Q2 相続が発生し、遺言書が見つかりました。遺言書で指定された遺言執行者が高齢でなかなか手続きが進みません。代わりに手続きを委任することは可能でしょうか?

 

 

相続放棄

Q1 相続放棄はいつまでにしなければならないのですか?(相続放棄の期間)

Q2 相続人が未成年者等である場合の相続放棄はどのようにするのですか?(未成年者の相続放棄)

Q3 相続放棄するかどうか判断できない場合はどうしたらよいのでしょうか?(相続放棄の期間延長)

Q4 相続放棄をしたら遺産はどうなるのですか?(相続放棄後の遺産)

Q5 相続放棄すると生命保険金は受け取ることができないのですか?(相続放棄と生命保険)

Q6 相続放棄すると未支給年金は受け取ることができないのですか?(相続放棄と未支給年金)

Q7 相続財産を処分すると相続放棄はできないのですか?(財産の処分と相続放棄)

Q8 相続放棄を撤回することはできるのですか?(相続放棄の撤回)

Q9 相続放棄をする場合、家庭裁判所に行く必要があるのでしょうか?(相続放棄の申述方法)

Q10 相続開始前の相続放棄は可能ですか?(相続開始前の放棄の適否)

Q11 相続放棄申述受理の判断基準は何ですか?(相続放棄の受理基準)

Q12 相続放棄されているかどうか不明な場合、調査方法はありますか?(相続放棄申述の照会)

Q13 相続放棄した相続人に相続財産の管理責任はあるのでしょうか?(相続放棄後の相続人の相続財産管理義務)

 

 

遺言書作成

Q1 遺言書はいつ作成するのがよいのでしょうか?

Q2 遺言書は何回まで作成できますか?

Q3 遺言書に記載した不動産は処分できませんか?

Q4 認知症でも遺言書を作成できますか?

Q5 病で寝たきりで、字も書けなくなってきました。遺言書は作成できますか?

 

 

遺産分割協議

Q1 遺産分割協議書に添付する印鑑証明書に期限はありますか?(印鑑証明書の期限)

Q2 遺産分割する相続人の中に未成年者がいる場合はどうするのでしょうか?(未成年者と遺産分割)

Q3 遺産分割の協議がまとまらない場合はどうしたらよいのでしょう? 

Q4 遺産分割する相続人の中に認知症の人がいる場合の相続手続きはどうなりますか?

Q5 遺産分割の対象となる財産は何ですか?

 

 

成年後見

Q1 後見人選任までどのくらいの期間がかかるのか?

Q2 後見人の報酬はどのくらいですか?

Q3 後見人はだれでもなれるのですか? 

 

相続問題Q&A Answer


 

アクセス

 

 

Q1 相談したいのですが、どうすればよいのでしょうか?

A1 お電話またはお問合せフォームからお気軽にお問合せください。お問合せフォームからのお問合せは24時間受け付けております。

 

 

 

 

Q2 相談は有料ですか? 

A2 初回のご相談は無料です。また、受託案件については、別途相談報酬をいただくことはありません。

 

 

 

 

Q3 相続登記の他に、預貯金や証券などの手続きも依頼できますか?

A3 預貯金や証券などの名義変更や解約手続きに対応いたします。相続税の相談も税理士と連携して進めることができます。

 

 

 

 

Q4 仕事が忙しく平日相談に行けません。

A4 事前に予約いただければ土日夜間も対応いたします。出張も可能です。

 

 

 

 

Q5 費用はどのくらいかかりますか?

A5 すべての案件についても事前にお見積りいたします。大まかな目安は当事務所ホームページを参考にしてください。


 

相続登記

 

Q1 相続登記する不動産が遠方にあります。依頼することは可能ですか?

A1 当事務所は、オンライン申請に対応しています。遠方の法務局であったとしても全く問題なく登記申請をすることができます。費用が加算されることもありません。日本全国どこに所在する不動産であってもすべてご依頼いただけます。

 

 

 

 

Q2 相続登記はいつまでにしなければならないのですか?

A2 相続登記の申請が義務化されました。(令和6年4月1日施行)相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならないことになりました。これは改正法施行日前の相続でも、相続登記は義務化されます。ただし改正法が施行されてから3年がカウントされますので、施行後、3年以内に、相続登記(または相続人申告登記)をすればよいということになります。また、相続人がその不動産を売却したり担保に入れようとしても、相続登記が前提となります。いざ処分しようと思ったときに、他の相続人が死亡し二次相続が発生していた、あるいは高齢化で協議がまとまらないということにもなりかねません。手続きが複雑化し困難になる前に名義変更されることをお勧めします。また、遺産分割の協議がなされて、まとまった場合には、不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その協議に基づく申請をしなければならないとされました。

 

 

 

 

Q3 相談に費用はかかりますか?また、相談時に何か準備するものはありますか?

A3 初回の相談は無料です。依頼の可能性がある場合は、身分証明書、印鑑、固定資産税の納税通知書など依頼する不動産のわかる資料をお持ちください。

 

 

 

 

Q4 相続登記を依頼した場合、費用はどのくらいかかりますか?

A4 当事務所の相続登記費用は、依頼内容にもよりますが、戸籍等の取寄せ、遺産分割協議書の作成、相続関係図の作成をすべて含めて、おおよその手数料が5万~7万程度になるケースが多いようです。その他に登録免許税が不動産固定資産税評価額の1000分の4、戸籍等の実費等が加わります。

 

 

 

 

 Q5 相続人が海外に住んでいる場合、遺産分割協議書に添付する印鑑証明書や住民票はどうすればいいのでしょうか?

A5 海外在住の相続人が日本に住民票登録を残したままの場合は、日本で住民票や印鑑証明書を取得していただくことになります。日本での住民票登録を抹消している相続人は、居住地にある日本大使館や領事館等の在外公館に出向いて、遺産分割協議書に相続人が署名した旨のサイン証明書(署名証明書)と住民票に代わる在留証明書を取得して、登記申請書類に添付することで対応します。

 

 

 

 

Q6 被相続人の権利証(登記識別情報)が見当たりません。手続きに必要ですか?

A6 売買や贈与など当事者の意思に基づいて登記する場合と異なり、相続登記は、権利証等を添付して被相続人の意思を担保する必要がありません。したがって、権利証等は添付書類とならず、だれが相続するかは、戸籍や遺産分割協議書・遺言書等で証明することになります。

 

 

 

 

Q7 平日は仕事があり訪問できません。土日でも可能ですか?

A7 はい。事前にご予約いただければ、相続に関するご相談を、土日でも対応致します。お気軽にご連絡ください。

 

 

 


 

遺産承継業務(相続財産の管理・処分)

 

Q1 被相続人が貸金庫の契約をしていた場合、どのようにして貸金庫の中身を確認するのですか?

A1 貸金庫の開扉は、銀行によって取扱いに差異はありますが、原則として、相続人全員の立会いが必要です。一部の相続人が協力しない場合に、公証人の立会いによる事実実験公正証書の依頼をして中身の確認をすることができる場合があります。また、ほとんどの金融機関では、財産管理人である代理人司法書士が相続人全員からの遺産承継業務委託契約書及び相続人全員の印鑑証明書、相続関係を証明する書類一式を提示して確認し、契約の解除並びに内容物の引き取りに応じていただいています。

 

 

 

 

Q2 相続が発生し、遺言書が見つかりました。遺言書で指定された遺言執行者が高齢でなかなか手続きが進みません。代わりに手続きを委任することは可能でしょうか?

A2 長寿社会において、遺言者の高齢化に伴い遺言執行者も高齢になることから、手続きがスムーズに進まないことがあります。また、遺言執行者が遠方に住んでいて、執行手続きを行えないという方もおられます。このような場合、遺言の内容に「遺言執行者は、その業務を第三者に委任することができる(復任権)」と定めてある場合は、遺言執行者と遺言執行業務について委任契約を結んで司法書士が手続きを代理することができます。なお、2019年7月1日から遺言執行者の復任権については「遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。」と改められました。これにより改正後に作成された遺言書においては復任権の記載がなくても、原則として、遺言執行者はその業務を第三者に委任することができるようになりました。

 

 


 

相続放棄

 

Q1 相続放棄はいつまでにしなければならないのですか?(相続放棄の期間)

A1 相続放棄は、原則として、自分のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申述してしなければなりません。相続人が相続の放棄をしないうちに、さらに死亡した時は、死亡した相続人の相続人が、自分のために相続の開始があったことを知った時から起算されます。

 

1.熟慮期間

相続を放棄するためには、前提として相続財産(積極財産と消極財産)を調査する必要があります。この調査期間を熟慮期間といいます。民法は、この熟慮期間を「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内」と定めました。ただし、特別な事情がある場合は、利害関係人の請求により家庭裁判所において熟慮期間を伸長することができます。

 

2.再転相続人の熟慮期間

たとえばAが死亡し、Aの相続人Bが相続の承認や放棄をしないまま死亡し、Bの相続人CがAの相続人となることを再転相続といいます。この場合の熟慮期間は、相続人の相続人(再転相続人)Cが自分のために相続の開始があったことを知ったときから起算されます。

 

3.熟慮期間の起算点

熟慮期間の起算点は、「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とありますが、これをいつとみるべきかの問題があります。判例をみますと、古くは「被相続人の死亡の事実を知ったとき」(大判大10・10・20民録27.1807)とあり(相続原因覚知時説)、のちに、「被相続人の死亡の事実を知っただけでなく、それによって自分が相続人となったことを覚知したとき」(大決大15.8.3民集5.10.679)(相続人覚知時説)と改めました。その後も、これを起算日とする判例は少なくありません。しかし相続財産の認識がない場合には熟慮期間は進行しないとするもの(東京家審昭47.6.2家月25.5.50)等や、特段の事情があるときは、熟慮期間経過後であっても相続財産の存在を知った後、遅滞なく限定承認ないし放棄することが許されるとしたもの(東京高決昭57.9.27家月35.11.89)等々、相続財産の認識がない場合に熟慮期間は進行しないとするものが多くなってきました。そして最高裁は昭和59年に新しい判断を示しました。すなわち「相続人において相続開始の原因となる事実およびこれにより自己が相続人となった事実を覚知したときから3カ月以内に限定承認または放棄をしなかったのが、相続財産が全く存在しないと信じたためであり、かつ、被相続人の生活歴、被相続人と相続人との交際状態、その他諸般の状況からみて、当該相続人に対し相続財産の有無の調査を期待することが著しく困難な事情があって、相続人において、このように信じることにつき相当な理由がある場合には、熟慮期間は、相続人が相続財産の全部もしくは一部の存在を認識した時または通常これを認識しうべかりし時から起算するのが相当である」としました。したがって、借金等の相続債務の存在についても、相当な理由がある場合には、熟慮期間が延長される場合が考えられます。

 

4.熟慮期間の計算

熟慮期間の起算点については、民法の原則どおり初日は算入しません。

参考 相続における承認・放棄の実務(新日本法規)

 

 

 

 

Q2 相続人が未成年者等である場合の相続放棄はどのようにするのですか?(未成年者の相続放棄)

A2 未成年者の法律行為は法定代理人である親権者が代わりに行うのが原則です。ただし、親権者と未成年者との間で利益が相反する場合は、家庭裁判所に申し立てて特別代理人を選任しなければなりません。もっとも、親権者自身も同時に相続放棄する場合は、法定代理人として未成年者のために相続放棄することができるとされています。熟慮期間の起算点は、法定代理人が未成年者のために相続の開始があったことを知った時から起算されます。相続人が成年被後見人である場合も同様です。ただし成年後見監督人が選任されている場合は、かかる監督人が被後見人に代わって放棄することになり、特別代理人の選任は不要です。なお、後見人が被後見人より先もしくは同時に相続放棄する場合でも後見監督人の同意が必要です。相続人が被保佐人である場合は、特別代理人の選任は不要です。民法13条6号により、被保佐人は保佐人の同意を得て相続の承認・放棄をすることができるからです。

 

【特別代理人の選任申立手続き(親子間の利益相反)】

利益相反(親子間の利害の衝突)の判断は、客観的、外形的に考察すべきであり、親権者の動機や意図に基づいて判定すべきではないとされます。

 

申立人 親権者、後見人、子の親族その他の利害関係人

管轄  子(未成年被後見人)の住所地の家庭裁判所

添付  ①親権者の戸籍謄本 ②子の戸籍謄本 ③特別代理人候補者の戸籍謄本 ④利益相反に関する資料(遺産分割協議書案、契約証書案など)

家庭裁判所ウェブページ特別代理人選任申立書記載例はこちら

 

【参考】

◆家庭裁判所での相続放棄の申述の受理は、一応の公証を意味するに止まり、相続の放棄が有効か無効かを終局的に確定するものではなく、その有効か無効かは民事訴訟法による裁判によってのみ終局的に解決するものである。(東京高判昭27・11・25)

◆共同相続人により相続登記後その一部が相続を放棄した場合、残余の相続人において相続放棄を登記原因として放棄者に対し、その持分の移転登記を求めることができる。(東京地昭31・9・26判決)

◆配偶者と数人の子が共同相続人である場合に、この一部が相続を放棄したときは、放棄した子の相続分は他の相続人である残りの子と配偶者とに相続分に応じて帰属すると解するのが正当である。(最高昭43・2・27三小判決)

参考 新日本法規 相続における承認・放棄の実務

 

 

 

 

Q3 相続放棄するかどうか判断できない場合はどうしたらよいのでしょうか?(相続放棄の期間延長)

A3 熟慮期間である3ケ月以内に承認もしくは放棄するかの判断ができない場合に、特別な事情がある場合は、利害関係人または検察官の申立てにより、家庭裁判所において、その熟慮期間を伸長することができます。特別な事情とは、相続財産が分散している、相続財産の構成が複雑である、あるいは被相続人の債務が不明であるなどの理由により、相続財産の調査や承認または放棄の選択考慮が3ケ月では困難な場合をいいます。

 

【期間伸長の手続き】

申立人

 利害関係人 (相続人、相続債権者、受遺者、相続人の債権者、次順位の相続人等)

相続人は、他の相続人の熟慮期間の伸長を求めることもできます。

 検察官

申立先(管轄)

 相続が開始した地(被相続人の最後の住所地)の家庭裁判所

申立てに必要な書類

 ①被相続人の住民票除票又は戸籍附票

 ②利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(親族の場合,戸籍謄本等)

 ③伸長を求める相続人の戸籍謄本

 審理に必要な場合、追加書類を求められることがあります。

申立期間

 相続開始後、熟慮期間の経過しない間に申立てする必要があります。

 》家庭裁判所ウェブページ記載例はこちら

伸長期間

伸長される熟慮期間は、事情に応じ裁判所が決定します(通常3ヶ月、事案により半年程度)。 場合により再度の伸長の申立てをすることができます。

参考 新日本法規 相続における承認・放棄の実務

 

 

 

 

Q4 相続放棄をしたら遺産はどうなるのですか?(相続放棄後の遺産)

A4 放棄した相続人は、その相続については、初めから相続人とならなかったものとみなされます。同順位の一人が相続放棄すれば、他の同順位の相続人の相続分が増え、同順位の者がいなければ、次順位の相続人が相続人となります。配偶者や第2、第3順位の相続人もすべて相続放棄した場合は相続人不存在となります。

 

 

 

 

 

 

Q5 相続放棄すると生命保険金は受け取ることができないのですか?(相続放棄と生命保険)

A5 相続放棄をした場合でも、受取人の指定されている生命保険の死亡保険金は、もともと受取人がもっていた固有の権利とされています。よって受取人に指定されている相続人が相続放棄しても受け取ることができます。ただし、生命保険の受取人として、「亡くなられた方ご自身」を指定している場合は、相続放棄をすると生命保険金を受け取ることはできなくなります。放棄した相続人は、その相続については、初めから相続人とならなかったものとみなされます。同順位の一人が相続放棄すれば、他の同順位の相続人の相続分が増え、同順位の者がいなければ、次順位の相続人が相続人となります。配偶者や第2、第3順位の相続人もすべて相続放棄した場合は相続人不存在となります。

 

【生命保険金は遺産(相続財産)なのか】

相続人が、熟慮期間内に家庭裁判所に相続放棄の申述をすると、相続人は相続開始時に遡って相続人でなかったものとみなされます。従って、生命保険金が遺産に含まれる場合は、生命保険の死亡保険金を受け取ることはできません。相続放棄をした場合の死亡保険金の扱いで重要なポイントとなるのは、その死亡保険金の受取人が誰なのかということです。受取人が被相続人となっている場合は、死亡保険金は被相続人の遺産となり、相続放棄をした相続人は、かかる保険金は受け取れません。これは被相続人が保険契約者でなくても、被相続人が保険金受取人に指定されていれば同様です。しかし受取人が相続放棄した相続人に指定されている場合は、相続放棄をしても死亡保険金を受け取ることができます。また、受取人に特定の相続人が指定されている場合だけでなく、単に受取人を「相続人とか法定相続人」などと指定されている場合であっても同様です。

 

 

 

 

Q6 相続放棄すると未支給年金は受け取ることができないのですか?(相続放棄と未支給年金)

A6 未支給年金は、受給者の死亡により未支給のままになっている年金です。未支給年金は相続財産とは異なり、法律で定められた権利者の固有の財産となります。(年金受給者が死亡した当時、その方と「生計を同じくしていた」「生前の援助の有無」等を基準として①配偶者②子③父母④孫⑤祖父母⑥兄弟姉妹⑦その他①から⑥以外の3親等内の親族の順位で受け取ることができます。)よって相続放棄をしても上記の要件に当てはまれば受け取ることができます。

詳しくはこちら 》未支給年金(日本年金機構のウェブサイト)

 

 

 

 

Q7 相続財産を処分すると相続放棄はできないのですか?(財産の処分と相続放棄)

A7 相続財産の全部または一部を処分した場合、相続を単純承認したものとみなされて、相続放棄はできなくなります。ただし、経済的重要性を欠く程度の形見分けや、社会的に見て相応した範囲での葬儀費用の支払いなどは、通常の財産処分にあたらないと解されています。また、相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったときは単純承認したものとみなされます。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでありません。(民法921条3号)

民法921条3号は、相続人の背信的行為への民事的制裁と解されており、「隠匿は」相続財産の所在を不明にし、「私に消費」とは、ほしいままにこれを処分し価値を失わせることをいいます。従って財産の保管その他の正当な事情に基づく消費であれば、背信的な行為にあたらないことになります。(谷口知平/久貴忠彦編「新版注釈民法27」489頁有斐閣)

いずれも、実質的、経済的重要性の有無が判断のポイントとなります。

参考 相続における承認・放棄の実務 新日本法規 谷口知平/久貴忠彦編「新版注釈民法27」489頁有斐閣

 

 

 

 

Q8 相続放棄を撤回することはできるのですか?(相続放棄の撤回)

A8 相続放棄の申述が受理された場合、仮に熟慮期間(相続の開始を知ってから3か月)が経過する前であっても、相続放棄の申述を撤回することはできません。ただし、申述をしても家庭裁判所に受理される前であれば、相続放棄の申述を取下げることができます。

 

 

 

 

Q9 相続放棄をする場合、家庭裁判所に行く必要があるのでしょうか?(相続放棄の申述方法)

A9 相続放棄は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書や添付書類を提出してしますが、郵送でも可能です。

 

 

 

 

Q10 相続開始前の相続放棄は可能ですか?(相続開始前の放棄の適否)

A10 遺留分放棄と異なり、相続開始前の相続放棄は無効です。たとえ遺言で相続放棄が禁じられていても、その遺言に拘束力は生じません。また相続放棄する旨の契約や確約書を作成されていても、法律上何の効力も生じません。

 

 

 

 

Q11 相続放棄申述受理の判断基準は何ですか?(相続放棄の受理基準)

A11 熟慮期間の明かな経過や法定単純承認に該当しているなど、明白な却下事由がない限り、家庭裁判所は受理することを原則として処理します。仮に実体要件を欠く相続放棄の申述が受理された場合、債権者等は後に民事訴訟において相続放棄の成立を争うことが可能です。

 

 

 

 

Q12 相続放棄されているかどうか不明な場合、調査方法はありますか?(相続放棄申述の照会)

A12 相続放棄されているかどうか不明の場合に、他の相続人や利害関係人は、家庭裁判所に相続放棄の有無の照会をすることができます。

 

 

 

 

Q13 相続放棄した相続人に相続財産の管理責任はあるのでしょうか?(相続放棄後の相続人の相続財産管理義務)

A13 民法改正の令和5年4月1日以降は誰に管理義務があるのか明確になりました。改正後の民法によれば、「相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九五二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。」と規定されています。すなわち、相続放棄をした者のうち、その放棄のときに相続財産を現に占有していた者のみ、当該財産の管理義務を負うことになりました。したがって相続人が実際に占有していない相続財産については、相続放棄をしても管理義務を負いません。なお、相続放棄をした者が管理義務を負う場合には、相続人や清算人に対して当該財産を引き渡すことによって当該相続財産の管理義務を免れることとなりました。

 

 


 

遺言書作成

 

Q1 遺言書はいつ作成するのがよいのでしょうか?

A1 特に決まりはありません。15歳以上であれば、どなたでも作成することができます。高齢になって作成する方が多いようですが、事故など万一に備えて人生の節目節目で作成されてはいかがでしょうか。

 

 

 

 

Q2 遺言書は何回まで作成できますか?

A2 何度作成しても構いません。最後に作成した遺言が有効な遺言となります。

 

 

 

 

Q3 遺言書に記載した不動産は処分できませんか?

A3 処分できます。ただし、遺言書に記載された不動産を後に処分したわけですからその部分については、遺言書の内容を撤回したものとみなされます。

 

 

 

 

Q4 認知症でも遺言書を作成できますか?

A4 遺言書は15歳になればどなたでも作成できます。しかし作成者に遺言の内容を理解し判断する能力(遺言能力)がなければ有効な遺言とはいえません。認知症の程度や症状もさまざまです。例えば成年後見人がついている方であっても判断力が一時的に回復し、医師二人以上の立会いがあって、判断力があるとの証明がなされれば有効な遺言書を作成することができます。

 

 

 

 

Q5 病で寝たきりで、字も書けなくなってきました。遺言書は作成できますか?

A5 公正証書遺言の作成が可能です。公証人が出張し遺言者からの口授により代筆し、遺言書を作成してくれます。

 


 

遺産分割協議

 

Q1 遺産分割協議書に添付する印鑑証明書に期限はありますか?(印鑑証明書の期限)

A1 売買や贈与等による所有権移転登記に添付する印鑑証明書は3か月以内に取得したものでなければなりませんが、相続登記に添付するものには期限の定めはありません。ただし、金融機関等に提出する場合は、3か月又は6か月以内のものを必要とされる場合があります。

 

 

 

 

Q2 遺産分割する相続人の中に未成年者がいる場合はどうするのでしょうか?(未成年者と遺産分割)

A2 未成年者の遺産分割は、本来親権者が法定代理人として未成年者に代わって行います。しかし、例えば、父親が死亡し、妻と未成年の子が遺産分割する場合、父親の妻(未成年者の母親)と未成年の子の協議は互いに利益が相反することとなり、法定代理人となることはできません。そこで、この場合は、親権者である子の妻が、裁判所に子の特別代理人選任の申立てをし、選任された特別代理人が未成年者である子に代わって、被相続人の妻とともに遺産分割協議に参加するということになります。

 

 

 

 

Q3 遺産分割の協議がまとまらない場合はどうしたらよいのでしょうか?

A3 遺産分割について、相続人全員の話がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停及び審判によって進めることができます。まず調停を申し立てます。裁判所が間に入って、各相続人から事情を聞いて、客観的に解決できるようリードしてくれます。それでもまとまらない場合は、審判手続きへ移行します。各相続人が主張や立証を展開し、最終的に裁判官が遺産分割を決定します。

 

 

 

 

Q4 遺産分割する相続人の中に認知症の人がいる場合の相続手続きはどうなりますか?

A4 遺産分割協議は必ず相続人全員でする必要があります。認知症などにより判断能力を欠く方がいる場合には、遺産分割協議(法律行為)ができません。

その場合、下記の手続き方法を検討し手続きを進めることになります。

①遺産分割協議により分割方法を決めるのではなく法定相続分どおりに分割する。

②家庭裁判所に成年後見開始申立てをし、成年後見人等を選任後、その者が遺産分割協議を行う。

 

 

 

 

 

Q5 遺産分割の対象となる財産は何ですか?

A5 不動産、預貯金、現金、株券、車、受取人が指定されていない生命保険金などが遺産分割の対象となります。しかし、受取人が指定されている生命保険金や死亡退職金、遺族給付(遺族年金等)は、受給権者が固有の権利として取得するものなので、遺産分割の対象にはなりません。また、香典は、喪主に贈られたものと考えられるため、遺産とは言えません。

 


 

成年後見

 

Q1 後見人選任までどのくらいの期間がかかるのか?

A1 法定後見の場合、申立の準備から選任申立、家庭裁判所による親族への照会、本人調査(面接)、必要な場合には医師による鑑定が行われることもあります。ケースにもよりますが、通常、後見人選任の審判が下りるまで2~3ケ月程度かかります。

 

 

 

 

Q2 後見人の報酬はどのくらいですか?

A2 法定後見人の報酬は、家庭裁判所が対象となる後見事務や被後見人の経済状態、地域の物価特性などを総合的に判断して決めています。事案にもよりますが、おおよそ3万円~6万円程度が多いようです。

 

 

 

 

Q3 後見人はだれでもなれるのですか? 

A3 後見人となるための特別の資格があるわけではありません。ただし未成年者や破産者、被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族など、民法で定めた欠格事由に該当する者は後見人にはなることができません。また、後見人は家庭裁判所が選任しますので、候補者として指定した親族を選んでほしいと申請しても必ずしも希望どおりにならないこともあります。